大判例

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東京地方裁判所 昭和52年(ワ)10041号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

医師の診断内容は、患者の具体的な病状に対して、その原因につき適確な判断を下し、診療当時の医学上の水準に基づいて適切な治療方法を選択、決定しかつ施行するものであつて、医療の性質からして、各時点の症状に対応した何段階かの予備的診断を重ねて判断資料を収集し、その後初めて最終的判断を下せるに至ることも多く、かような場合にあつては、医師は、各段階における患者の具体的症状及びその他の事情を総合して、その段階に相応する適確な判断を下し、これに基づく適切な処置を講じて次の段階に進むよう努めるべきものであるとともに、最終的判断に達する迄の各時点における義務としては右の程度で足りるものと言わねばならない。

これを本件について見るに、被告が、角膜顕微鏡による検査及び原告の応答から異物飛入の疑いを抱きこれを原告に告知したこと、前房出血による異物見落としの危険性に鑑みて、その時点での眼底検査を控え、翌日にこれを予定したこと、原告の来院拒絶に対して他医の診察を受けるよう指示し、かつその際受けるべき検査内容を説明したこと、眼底検査を容易にするため止血剤及びペニシリン複合剤を投与し、患部を冷やすよう指示したこと、原告の病状について問合わせてきた原告の妻に対しても同様の注意及び指示を与えたことは、前示のとおりであるところ、被告の右判断及び処置は、前記認定の本件の具体的状況の下においては適確かつ適切であつたものというべく、被告において診療行為につき過失ないし不完全な点があつたものということはできない。

(山口繁 遠藤賢治 仁平正夫)

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